◎「大航海No.64」

2007年秋発刊の雑誌
この号は「近代日本の学者101」という特集
この手の学術教養商業誌としては、とても面白く読めました
と褒めようと思ったのですが、家でネット検索をかけてみて、この雑誌を見つけられないことに唖然とした
アマゾンに登録すらされていない
なんだこりゃ
売る気あるのか?
三浦雅士が編集長だということだが
「大航海」って、図書館に置いてあるのはよく見るが
Web上ではろくに露出していないようだが、ちゃんと売れているのか?
あるいは、どこかからの助成金メインで持っている雑誌なのか?
「大航海」で検索しても、「船」の方のネタでばかりヒットする
ネーミングセンス最悪だ

「学者の時代は終わったか」という村上陽一、樺山紘一三浦雅士の対談がある
いやあ、学者になるのなんて無理だよねえ
と思わせられます
彼らの時代に比べて、学者志望者が3桁増えたらしい
3桁ってなんじゃ
大学院生は、ニート人口を増やしているというお話
ぎくり

日本で評価すべき学者は101人もいるのか?
とか、
あんな人もこんな人も入ってないじゃん(笑)
とか、
まあ、そんな楽しみ方もできる雑誌です
漠然と学者たちの名前と業績を眺めているだけでも、楽しめました
しかし、小谷野敦は、こういう雑誌の執筆に参加できるってすごいな

◎「ユリイカ 2007年11月号 特集=ドストエフスキー

ドストエフスキー特集、どんなもんじゃいと思って読んでみた
そこらへんの文芸誌より、ユリイカ掲載作品の方が、論文っぽさは出ている
しかし、編集の側での紙面の体裁が素人臭いのは、いつも不思議
さらに、アマゾンに目次を載せていないのは売れていないからか
困る

一番面白かったのは小谷野敦のもの
小谷野も、あちこちで大活躍だな
ドストエフスキーって、宗教臭い
セカイ系臭い
そこを真正面から小谷野は叩いていて、その点で独立した批評たりえていた
ドストを褒める人たちは、みんな宗教っぽくなるからね

山城むつみも、Webで話題になった「リアルアンパンマン」という動画と結びつけてドストを論じていて、目新しいと思ったけれども
でも、ちょっとグダグダで、ウケを狙っているのだろうけれども、何言ってるのか
わけわかんね

あとは、バフチンプラトンの方からドストを論じている論文が、ちょっと興味を持てた

◎「三田文学
○No.91(秋季号)
座談会「昭和文学(戦後〜昭和末年)ベストテン[小説篇]」秋山駿、井口時男富岡幸一郎田中和生

選ばれている作品は「必読書150」とそんなに変わらない
田中和生が、大庭みな子をむりやりごり押しして、戦後文学のベストテンに入れてしまったのが印象的
富岡幸一郎がめちゃくちゃ嫌がっていた
女の作家とか、入れなくていいよ、みたいな発言とかもあり、普通に失言じゃないか?
文壇って、ほんとにひどいところなんだな
性文学って、確かに、似たようなものばっかでつまらないものが多いけど
田中が大庭の『浦島草』を押し込んだのは賛成できる
しかし、昭和文学なんて、ほとんどの人はもう読まないんじゃないか……?

○No.89(春季号)No.90(夏季号)
若松英輔越知保夫とその時代――求道の文学」「須賀敦子の足跡[あしあと]異端者の信仰とその祈願」

三田文学新人賞評論部門受賞作と、その後の第一作を読んでみる
ぼくなどより、はるかに文章がうまいなと思う

しかしね
マルクス主義キリスト教だ!
評論は宿命だ!
悪い意味で宗教がかっている、古臭い文学的文体

こんなノリでいいの?
越知保夫とか須賀敦子とか
読む意味あるのかな
日文科近現代って、学生のお金を多く使ってこういった雑誌を作っているのでしょ?
ほとんど、趣味的な感じがします