読書

ミシェル・フーコー、渡辺 守章『哲学の舞台』

本書は ・フーコーと渡辺の対談 ・フーコーによる日本での講演 ・渡辺の解説 からなる フーコーが、日本の読者に向けて分かりやすく自己の思想を語っている 「西洋的には前提」といったようなことにも反省が加えられていて、良い本であるしかし、フーコーや…

◎「大航海No.64」

2007年秋発刊の雑誌 この号は「近代日本の学者101」という特集 この手の学術教養商業誌としては、とても面白く読めました と褒めようと思ったのですが、家でネット検索をかけてみて、この雑誌を見つけられないことに唖然とした アマゾンに登録すらされていな…

エドワード・ケアリー『望楼館追想』

望楼館追想posted with amazlet on 07.04.20エドワード ケアリー Edward Carey 古屋 美登里 文藝春秋 (2004/11)売り上げランキング: 335179Amazon.co.jp で詳細を見るエドワード・ケアリー『望楼館追想』(二〇〇二、文藝春秋)を読んだ。 面白かったですね…

E・ブロンテ『嵐が丘』

E・ブロンテ『嵐が丘』読了。「悪党、ヒースクリフさんに身も心もダメにされてしまいたい!」そんな怪しい心が芽生えざるをえない。作者はアイリッシュやケルトの血を引くイギリス人。反キリスト教的で悪魔的なところがありつつも、ハイセンスなオクシデンタ…

論理の美

本書では、先行研究の成果ではいまだ不明瞭な箇所を含んでいた万葉歌を取り上げ、必要にして十分な引用により裏づけを取りつつ、問題となる万葉の歌の一言一句を精緻に分析し、蓋然性の高い新たな解釈を打ち出している。各章で論じる対象となる中心的な歌は…

清水博子『カギ』(二〇〇五、集英社) 初出 すばる二〇〇三年十月号

インターネットに掲載された日記を題材とした小説。これといった個性のない普通の人のようだけれども、裏に精神的な「病い」のようなものを抱える「妹」と、辛らつなところのある「姉」の、それぞれの日記が交互に紹介されて、テキストが織りなされている。…

劣等感と美

公房の一九六四年の作品。顔面にケロイド瘢痕を受けた男が、プラスチック製の仮面を作り、「他人の顔」を獲得して妻を誘惑するが、二人の信頼関係は破綻し、悲劇に至る。ところで、三島の『金閣寺』(一九五六)の主人公は、吃音という障害を負い、他者への…