ハーヴェイ『新自由主義―その歴史的展開と現在』

正しく「世界系」である現代世界政治経済史
間違っても「セカイ系」ではない書物
超具体的

Webには、社学系のプロの人がアマゾンレヴューや、論文をあげているよう
でも、Webの一般人の間ではあまり話題になっていない

「市場主義」は、倒錯的な思想に裏付けられた経済活動だとして糾弾している
儲かるものがより儲かる
下層社会が拡大していく仕組み

経済新聞に載っていそうな事実が多量に羅列してあり疲れる

ただ、貧しきものよ、団結しよう
立ち上がれ
現状に甘んじているだけでは、搾取されまくるだけだぞ
といったメッセージをそこここに見抜くことができ、そこが興味深いところ
でも、それを実現する方法が分からないのですよね

新自由主義と、そのなかから派生して生まれてくる新保守主義
それらに対するものとしての福祉社会
この三つしか、方法はないのでしょうか
でも、それぞれ、「お金持ちがどんどん有利になる」「自国だけでも助かろう」というやり方でしかない

アメリカ、イギリス、ラテンアメリカ諸国、中国、旧社会主義圏など、広く扱う
・「富裕階級の権力回復のプロセス」としての新自由主義
・各国の政治的経済的関係のなかで、新自由主義がどのような波紋をもたらしているのかダイナミックに綴る。地理的に離れら相互の関係のなかで、政治、経済それぞれの不均等な発展に注目し、厚みのある論となしている大変な労作
英米圏の左翼知識人はイーグルトン、ジェイムソン、カリニコス、そしてハーヴェイがいるが、経済学者はハーヴェイだけ(アマゾン情報)

○チェック
ハーヴェイ『ポストモダニティの条件 (社会学の思想)』
ポランニー、グラムシ